手袋の下の体温

 「なぁ キース」
 「?」
 「手 貸せよ」
 「……」
 急にクレアが何かを想いついたようにそう云ってきたものだから
 想わず云われたとおりに片手をクレアに向かって差し出した
 すると俺のしていた手袋を勝手にクレアの手が引き抜く
 途端に冷気が俺の手の表面を襲う
 抗議するようにクレアを睨むとクレアは笑って俺の手を握ったままコートのポケットに突っ込んだ
 人通りが少ないからといって外でそんなことをするなといつも云っているのに
 クレアは全く俺の云うことに聴く耳を持たない
 「今日ぐらいはいいだろ?」
 何がだ と想ってハッとした
 そうか 今日は……
 「サンタクロースのプレゼントなんて期待してねーから せめてこれくらいはいいよな?」
 少し頷き ポケットの中の手を少し強く握り締める
 今日という日ならば 少しくらいはいいのだろう
 どうせ明日は互いに別に過ごすのだから
 だから 少しだけ表通りから逸れて人目のないところまでいく
 「どうしたキース?」
 クレアの声に応えずに懐を探る
 懐中時計を取り出すと今まさに日付が変わろうとしている瞬間だった
 「……Merry Cristmas」
 呟くように云ってクレアの唇に自分のそれを重ねる
 ほんの一瞬だが 今はそれで充分だろう
 いくらなんでも他人に見られるのは厭だからな
 「キース」
 少し驚いた顔をした後 ニヤついた笑いを顔に貼り付けているクレアが耳元で囁く
 「今夜は覚悟してろよ?」
 何でそうなる……そう想いながら溜息を一つ落とし クレアと共に家路へつく

 空からは白い結晶が舞い落ち始めていた

 h a z y様より
 甘甘クレキス
 イブはともかく本番はお互い妻や婚約者と過ごすのでっていう話
 こういうのがあるから書きづらいけどでも公式カプも大好きだから無視するなんてできないジレンマ
 同人はそこが難しいと想う