初詣を君と
「よぉラッド 奇遇だな」
そう手をあげて近付いてくる赤毛を想い切り嫌そうな顔で見てやった(むしろ睨んでやった)
「なんだよ新年早々そんな顔しやがって 元旦からそんなんだったら今年も一年そんな顔して過ごすことになっちまうぞ?」
「うるせぇよ余計なお世話だ ってか誰の所為でこんな顔してると想ってやがる」
「俺」
「わかってんなら俺の前から消え失せろ」
そう云ってクレアから顔を背けたが クレアがそこから立ち去る気配はない
苛々とクレアを見るといつの間にか俺の後ろへと移動していた
「おい 何してんだ」
「見ればわかるだろ?甘酒の順番待ちしてんだよ お前と同じで」
「……」
まぁ考えてみればそれもそうだとは想いつつもなんとなく釈然としない気持ちで甘酒の順番待ちを大人しくすることにした
背後にこいつの気配があるのが気に喰わないが 気にしたってしょうがないということなのだろう
それから一分ほどで俺の順番が回ってきた
甘酒を注いでくれたおばさんがクレアを指差し「友達?」と聞いてきたので想いっきり顔を顰めて首を横に振っておいた
「おいラッド 待てよ一緒に参ろうぜ」
受け取った甘酒をちびちびと飲みながら歩いていると 後ろからクレアが話しかけてくる
無視して歩き続けているとクレアが俺の横を歩き始める
気にせず 近くにあった石段に腰掛けるとクレアも俺の隣に腰掛けてきた
「……おい 何でここに座ってんだよ どっか別のところに座ればいいだろうが」
流石に苛つきそう声を掛ければ クレアはしれっとした顔で「他に座れる場所がない」と云う
なら立ってろと云いたかったがもう相手をするのが面倒だったので本格的に無視することにした
甘酒を飲み終わり近くにあったゴミ箱へ紙コップを投げ入れると立ち上がり賽銭箱の前に行く
五円玉や一円玉を数枚ポケットから取り出すと適当に手を合わせ目を瞑る
願い事なんて特には想い浮かばなかったのでほんの一二秒で終わった
それにしても……いつの間にか追いついて俺の隣で拝んでいやがったこいつを何とかしてもらいたい
そうか さっきはそれを願えばよかったのか
なんて想いながら相変わらず俺の隣を歩いている赤毛を横目で睨みながら鳥居をくぐった
「なぁ」
話しかけられた気がしたが無視 とにかく無視を決め込むに限る
そうしてウザイのを我慢しながら駐輪場まで歩いていくといきなりクレアに腕を引っ張られた
いい加減苛々が募っていたところへそんな事をされて 俺は想い切り顔を顰めて怒鳴りながらクレアを振り返った
「てめぇいい加減にしやが……!」
そしてそこで思考が停止した
振り返って最初に眼に飛び込んできたのは想ったよりも間近にあるクレアの顔
いつも自信に溢れている生意気な瞳は瞼が被せられていて見ることはなかった
何をされているのか理解する間もなく 思考が乱される
「ふっ……ん」
開けっ放しの唇に宿った生温かい感触
そこから入ってきた生き物のように蠢くものに全ての思考を持っていかれる
舌に絡み付いては刺激するそれに 為す術もなく翻弄される
「はっ……」
呼吸すら満足にできず苦しくなってきたところで 漸く俺の口は解放された
何をされたのか
そんなことは考えなくとも解っている
だけども頭がそれを受け付けない 眼の前にいる奴にそれを行われたという事実を 認めたくなかった
「息上がってるけど まさか初めてだったなんてことねーよな?」
お前無駄に背ぇ高いから首が疲れるわ
などと勝手なことを云いながらクレアが俺を見ている
呼吸を整え睨みつけてやると 大仰な仕草で「おぉ怖い」とまるでそう想ってなどいないくせに云ってくる
「てめぇ……何しやがる」
怒りのあまり殴りかかることすらできずに低く掠れた声でそう尋ねれば
「したかったから」
と あまりにも簡潔で自分勝手な答えが返ってくる
その言葉に右ストレートを繰り出すと拳をそのまま受け止められ握りこまれる
「まぁまぁ 元旦からそんな怒るなよ」
誰の所為で怒っているんだと想ったが口には出さなかった
どうせ「俺の所為」と悪びれた風もなく返されると解っていたから
とにかく一発でも殴ってやらなければ気がすまなかったがあまり遅くなると伯父貴に年玉を減らされかねないので怒りを精一杯堪えて拳を引いた
……いや 引こうとして失敗した
拳はまだクレアの手によって握りこまれ 放されないままだったから
「おい 手ぇ放しやがれ」
「いやだ」
「ふざけんな さっさと放しやがれ」
「あのさぁ 今日俺予定なくて暇なんだよ だから俺んちに来い」
「はぁ?」
ふざけている 嫌いな奴とこうして顔を合わせているだけでも厭だというのに何故わざわざ家にまで行かなければならないのか
「何で俺がてめぇの暇つぶしに付き合ってやらなきゃならねぇんだよ ふざけんのも大概にしやがれ」
このままクレアのことなど無視して帰ってやりたかったが 手は未だに放されないままだったのでそれすらできなかった
どうせ左手で殴りかかっても拘束される拳が増えるだけなのだろう
いい加減寒くて仕方なかったし もう諦めて従った方が良いのかもしれないだなんて想いがちらりと頭を過ぎった
俺が溜息を吐くと クレアは俺が諦めたのかと想ったようで「じゃぁ行くか」などと云いだす
「何処にだよ」
「俺の家」
「いかねぇっつってんだろうがよ」
「なんだ まだ諦めてなかったのか 云っとくけどお前が俺の家にくるって云うまでこの手は放してやらないからな?」
生意気な瞳で笑みを浮かべ クレアは俺の手を握ったまま歩き出そうとする
「おい 俺は自転車なんだよ 置いて帰るわけにはいかねぇだろうが」
「お 諦めたのか?」
「……しゃーねぇなぁ」
たまには生意気で大嫌いな後輩の我が儘に付き合ってやってもいいかもしれない
なんて想いながら俺はポケットから自転車の鍵を取り出した
早めに伯父貴に電話しねーといよいよ年玉減額だな とついでにケータイも取り出し家の番号をプッシュする
クレアの手はまだ俺の手を握ったままだった
学パロで初詣なクレラド…なんですが 学パロとしての要素少ないですね(汗
ま まぁいいですよね(よくない
ていうかですね 初詣のとき神社で甘酒配ってるのって…一般的 ですかね?
書いてから自信なくなってきた…少なくとも自分んとこの近所の神社では配ってました
ここ何年もいってないから今でもやってるのかは知らないですが
そんなこんなであけましておめでとうございました
今年も宜しくお願い致します