熱い体温を冷まして、醒まして、覚まして。

 真夜中 違和感に目が覚めた
 寝惚けた頭を左右に振ればジャラジャラと金属質の音がする
 ――一体なんなんだ?――
 身体を起こそうとしたところで漸く違和感の正体を確認できた
 身体がベッドに拘束されている
 首と手首足首に巻かれた皮の枷
 そしてそれぞれに繋がれている太い鎖が俺をベッドに縫い付けていた
 こんなことをする奴といえば 俺には一人しか思い浮かばない
 ――あの糞赤毛!
 怒りにまかせてなんとか鎖を引き千切れないものかと腕に力を入れるもそうとう頑丈な鎖らしくびくともしなかった
 舌打ちをしつつ ベッドが軋みを上げるほど力を入れて引っ張っていると寝室のドアが開き男が入ってきた
 「あ ラッド 何だ起きてたのか」
 「てめぇ……!起きてたのかじゃねぇ!何だこれは!さっさと外しやがれ!マジでぶっ殺すぞテメェ!!」
 そう怒鳴りながら入ってきた男――クレアを睨みつければクレアは一つ肩をすくめてベッドのすぐ側まで歩み寄り俺を見下す
 「悪いけどそれはできないな」
 「ふざけんな!」
 俺の声を聞いているのかいないのか 手に持っていた小さな紙袋からなにやら液体の入った小瓶を取り出すとサイドテーブルの上にコトリと置いた
 と クレアがこちらを見下ろしたまま顎に手をやりなにやら考えるような顔をしている
 なんなんだちくしょう 何考えてんのかしらねぇけどさっさとこれを外しやがれ!
 苛立ちながらそう叫んでやろうと口を開けた瞬間 クレアが俺の口に指を二本突っ込んできた
 一瞬困惑したがすぐにその指を噛み千切る勢いで歯を立てる
 血が滲んで俺の口腔に鉄の味が広がってもクレアはなんでもない風な顔のままもう片方の手で先ほどの小瓶を手に取り 俺の口の隙間からそれを流し込んでくる
 なんとなくヤバイ予感がして急いで舌でそれを口の外に押し出そうとするもクレアの指がすばやく引き抜かれ今度は俺の口を閉じさせる
 口を掌で塞がれたまま数十秒 絶対に飲み込むまいと我慢し続けたが更に数分が経過したところで遂に飲み込んでしまった
 どろりと温まり俺の唾液とクレアの血と混ざり合った液体が喉を通って胃へと落ちていく
 「ん よし」
 咳き込む俺を尻目にクレアが笑みを浮かべそう呟いた
 何がいいんだ 何が
 そう云いたかったが咳が邪魔をして言葉にはならなかった
 せめてクレアを睨みつけてやろうとさっきまでクレアの姿があった場所を睨むが 既にそこにクレアの姿はなかった
 何処にいったんだ……?
 と想っていると足元からカチャカチャという音が聞こえる
 何だ?と想い視線を移せばそこに赤い髪が見えた
 「おい 何やってんだ」
 「ん?とりあえず足だけは外してやろうと想ってな」
 「足だけじゃなくて全部外しやがれ」
 「断る」
 「ふざけんな!」
 そう怒鳴った瞬間に右足をクレアに持ち上げられ腹の辺りまで膝を押し曲げられる
 そうして開いた足と足の間にクレアが身体を押し込んでくる
 「おい……なにしてんだよ てめぇ」
 「いや ナニしようと想って」
 にやけた面でそうのたまうクレアの顔面に一発入れてやりたかったが枷が邪魔をして何もできない
 右足はがっちりとクレアの左手に掴まれ 左足もクレアの右手によって押さえ込まれているためやはりクレアに攻撃をすることはできなかった
 「ふざけんじゃねぇ!殺すぞテメェ!!」
 「できないことを云うものじゃないぞ?」
 「うるせぇ!」
 余裕の表情で俺の顔を覗き込むこいつが嫌いだった
 くそ そんな余裕ぶっこいた面を 俺の大嫌いな目を 近づけてきてんじゃねぇよ!
 想ったときにはもう既に唇と唇がぶつかっていた
 唇から体温が伝わるのより速く半開きの唇から舌が侵入してくる
 絡められ吸い上げられる己の舌がまるで自分のものじゃないように痺れる
 普段異常に気分が高揚して頭が 身体が 熱くなっていく
 呼吸すらままならなくなってきたところで漸く唇が解放される
 肩で息をついているとクレアが俺の顔を覗き込みながら笑みを浮かべる
 「そろそろ効いてきたみたいだな」
 何がだ とは聞けなかった
 クレアに首筋を撫でられてびくりと身体が震える
 ――なんだ?どうして こんな――?
 自分の身体のあまりに過敏な反応に困惑する
 そうして困惑している間にもクレアの俺の身体を撫でる手は止まらない
 「はっ……ぁ!」
 息を吐くと出てくる声を堪えようと唇を噛む
 両手が使えないことが普通異常に不便に思える
 気付けばクレアの手によってシャツのボタンが全て外されていた
 あらわになった素肌にクレアが唇を寄せる
 音を立ててクレアが俺の肌に鬱血痕を残していく その一つ一つに身体が跳ねるほど快感を覚えてしまう
 「ぁ ぅあ……」
 噛んでいた歯も力をなくし開かれた唇から嬌声が漏れてしまう
 それもなんとか最小限に押し止めようとするがいつまでもつものかわからない
 クレアの唇が臍の近くに押し付けられたところでズボンのジッパーがジーッと音を立てて下げられる
 腰を持ち上げられ手際よくズボンと下着を同時に引き抜かれ下半身をあらわにさせられる
 外気に晒されても萎縮することなく熱を持ったままの下腹部
 そこにもクレアの唇が寄せられ俺は思わず息を呑む
 「ぅぁあ!ひっ……ぁあ!」
 既に半勃ちだったそこにクレアの生温かい舌が這う
 既に理性が半分飛びかけだった俺の口からは一際大きい声が出る
 クレアの口腔にほとんど飲み込まれた瞬間 俺は限界を迎えた
 クレアの口内に勢いよく精液がぶちまけられる
 俺は肩で息を吐きながら頭の中が真っ白になるのを感じていた
 と 折り曲げられたままだった右膝が更に上に持ち上げられる
 腰とベッドの間に隙間ができ クレアの指が尻を這うのがわかった
 その感覚にぞくぞくと身体を震わせながら既に抵抗する気力をなくしてしまった俺はクレアの次の行動を予測して身構えることしかできなくなっている
 ぬちゃり
 後孔にあてがわれた二本の指が中に侵入してくる
 いつまで経っても慣れない感覚に息を詰めるが それでもやはりその感覚はいつも以上に俺に快楽をもたらす
 「はっ……ぁ?ぁああ!」
 一気にクレアの指が根元まで押し進められ 中の弱い部分を刺激する
 ぐちゃぐちゃとかき混ぜつつも確実にポイントを押さえて刺激してくるその指に快感を募らせる
 気付けば先ほど出したばかりだというのにもう既に性器が完全に勃ち上がっていた
 「あ?」
 おもむろに全ての指が抜かれ 俺は不満気にクレアの顔を見る
 「まぁそんなに物欲しそうな顔をするな」
 クレアが苦笑しながら俺に軽くキスをする
 ちゅ と音を立てて離された唇は でもまたすぐに合わせられ俺の口内を蹂躙する
 「ラッド」
 キスの合間にクレアが俺の名前を呼ぶ
 思考が追いつかずにすぐに返事を返してやれない
 「愛してる」
 「ぅぁああああああっ!!」
 囁かれた言葉を認識する前にクレアのもので貫かれる
 始めから激しく律動するそれに思考が掻き乱され もう何も考えられないほどだった

 ただ溺れるように快楽に耽るしか出来ない俺の耳元で クレアが必死に何か囁いている気がした
 

 キリン様より
 ラドクレラド絵茶にお邪魔したときに書かせていただいたものです
 初エロだったものでいつも以上に文章とか色々拙いですが…
 ちなみにテーマは拘束&媚薬でした
 初っ端からそんなテーマは難しすぎます^^