蠱惑しないで

 夜半過ぎになって いつもの工場に忘れ物をしていることに気付き取りに行った
 別にたいした忘れ物ではなかったが それでも取りに行こうと想ったのは
 知っていたからかもしれない あの人がそこにいることを

 工場の窓から差し込む月明かりに照らされて 銀色の髪が妖しく輝く
 俺はその髪を指先で軽く梳いたりしながら弄び 髪の持ち主の寝顔を見る
 まるで子供のような無邪気な寝顔に苦笑を漏らして 漸く俺はその人を起こしにかかった
 「ラッドさん 起きて下さいよ こんなところで寝てたら風邪ひいちゃいますよ?」
 肩を揺すりながらそう声をかけるが 唸り声が口から漏れるばかりでいっこうに目を覚ます気配がない
 酒を飲んでいることは匂いでわかったが たいして寝心地の良さそうにないばらされた車のシートでよくもまぁこんなに熟睡できるものだと感心する
 ハァと一つ溜め息を吐き 俺はラッドさんの寝顔をじっと見つめた
 そうしているうちに ふと思いつきラッドさんの耳元に口を寄せる
 「ラッドさん 起きてるのはわかってるんですよ?」
 反応なし
 本当に寝てるのか……そう想ったらつい
 「……ラッドさん 起きてくれないと悪戯しますよ?」
 口が滑ってしまった
 何を云ってるんだ俺は――
 馬鹿なことを云ってしまった自分自身に項垂れ溜め息を吐いたその時
 「すればいいんじゃねぇの?」
 そう云ったラッドさんの声に 言葉に がばっと勢いよく頭を上げた
 「ラッ……!?お 起きてたんですか?」
 「いや?たまたま目が覚めたところにお前の声が聞こえただけだ」
 どんなタイミングですか!!?
 叫んでしまいたかったが冗談にしろなんにしろ あんな言葉を聞かれてしまった恥ずかしさに言葉が出なかった
 俺がそうして硬直していると ラッドさんがにやにや笑いながら
 「なぁ 悪戯しねぇの?」
 と聞いてくる
 この酔っ払い!と心の中で叫びながら「しませんよ」と俺は云う
 するとラッドさんは眉間に皺を緩く寄せ 俺の顔面すれすれまで顔を近付けながら薄く口を開いた
 「――しねぇの?」
 その言葉に 声に 雰囲気に 視線に 吐息に 酔わされたんだと
 自分に言い訳する暇もなく 俺はラッドさんの唇に自分のそれを合わせていた
 最初から深く口付けられた唇の隙間から時折聞こえる互いの唾液の交わる音以外は何も聞こえなかった
 完全に此処は二人だけの空間なのだと想った
 そしてそう想ったらもう止まらなかった
 俺は夢中になってラッドさんの身体をシートの上に押し付ける
 唇を首へと移動させ鬱血痕を残しながら 焦りのあまりたどたどしくなる手つきでラッドさんのシャツを脱がそうとボタンの一つ一つを外していく
 上でラッドさんが笑いながら「あんまりがっついてんなよ」と云ってくる
 誰の所為だと想っているのだろう
 少しばかり苛々しながら それでも漸くボタンを全て外し終えると驚くほど白い肌に唇と舌を這わせていく
 胸の飾りに舌を這わし舌先で粒を弄べば それまで余裕に構えていたラッドさんの口から「んっ」と声が漏れる
 その声にまた欲情して 俺はラッドさんのズボンのベルトに手をかける
 ピクっとラッドさんが反応して少し身を捩る
 それを気にかけもせずに俺はそのままカチャカチャと音を立てながらベルトを外し ジッパーを音を立てて下ろしていく
 「ラッドさん 腰浮かせてください」
 そう云ってラッドさんの腰に手をかけると おずおずとラッドさんが腰を浮かせてくれた
 その間に膝まで一気にズボンと下着を引き下ろすと ラッドさんのもう既に勃ち始めた自身に手を触れる
 「んっ!あ……シャフ ト」
 上下に扱けばラッドさんが俺の名前を呼びながら僅かに嬌声を口から漏らす
 その声をもっと聞きたくて 先走りでぐしょぐしょになっていくそこを激しく上下に扱いていく
 「シャフ ト……!も 出る……!」
 そうラッドさんが云った直後 先走りとは比べ物にならない量の白濁とした液体が先端から迸る
 俺はそれを片手の掌の中に受け止めながら もう片方の空いた手でラッドさんの膝に引っかかったままだったズボンと下着を邪魔だと云わんばかりに爪先へと追いやり剥ぎ取った
 そしてそのままラッドさんの片足を抱え 膝を思い切り腹の辺りまで折り曲げる
 足を上げたことで空気に晒されることになった後腔にラッドさんの精液に塗れた指を一本突き入れる
 「――っ!ふっ……」
 途端 ラッドさんが苦しげに顔を歪ませた
 「ラッドさん……」
 大丈夫ですか?そう云おうとした唇をラッドさんのそれで塞がれた
 軽く触れるだけのそれはすぐに離れて ラッドさんが「いいから続けろよ」と 未だ苦しげな表情と声でそう促した
 俺はラッドさんに深く口付けながら 中に侵入させる指の数を増やしていった
 「んんっ!んぅ……」
 中を指で掻き回しながらある一点を探す
 臍の裏側辺りを集中的に探っていると プクリと膨らんだ箇所に指が触れる
 「ぅあっ!」
 その瞬間 ラッドさんが唇を離し大きく喘いだ
 ――ここだ
 そう確信した俺はそこを集中的に指で攻める
 「シャフト シャフ ト も……!」
 ラッドさんが俺のシャツをぎゅっと握り締めながら限界が近いことを教えてくる
 辛そうな様子に俺も眉間に皺が寄るが そろそろ俺自身も限界が近かった為 一旦指を引き抜いた
 「ぅあ シャフ ト やめんな よ……!」
 突然引き抜かれた指が名残惜しいのか 不満げにラッドさんが声を上げた
 しかしその声を無視して俺は自分のズボンのジッパーを引き下げ 若干焦りながら自身を取り出した
 既に熱く脈打っているそれは今すぐにでもラッドさんを欲している俺自身をまさに象徴していて そんなことを考えている自分に苦笑をもらす
 まだ掌の中で乾いていないラッドさんの精液を自身になすりつけ軽く扱いてから ラッドさんの後腔にピタリとその先端を押し付ける
 「いきますよ」
 「あぁ こいよ」
 そうして鰐のように笑うラッドさんにくらくらしながら 俺は一気に根元まで突き入れた
 「ぅぁああっ!」
 衝撃にラッドさんが嬌声とも叫び声とも解らない声を発した
 絡みつくような中の熱に半ば理性を失いつつあった俺は既にラッドさんのことを考える余裕もなくただ激しく律動を繰り返すことしかできなかった
 「シャフ……!あ ぁあ も 無理……ぁああ!」
 ラッドさんがそう声を上げて吐精したのと同時に 俺もラッドさんの体内に精を吐き出していた
 ハァハァと獣のような呼吸音だけが工場内に響く中 ラッドさんの存在だけが月光に照らされて異様に輝いていた
 

 キリン様より
 自宅主催の萌茶で書いたものです
 元々サイト更新用に書いていたものをそこで完成させただけなのです
 ていうかシャフラドとかマイナーにも程があるカプでエロ書くくらいなら
 さっさとグラッドとかで書けって話ですね^^
 あ ちなみにこの二人絶対これが初めてじゃないと想いまs(削