汚れている部分をみせたかった

 俺とグラハムさんとラッドさんの三人で グラハムさんの部屋で騒いでいた
 夜も更けて 俺がそろそろ帰ろうかと思った頃にグラハムさんがソファの上で眠ってしまった
 流石にそのままにしておくわけにもいかないと思い 俺は半ば引きずるように寝室のベッドへとグラハムさんの身体を運んだ
 はしゃぎ疲れたのだろう あまりにも無防備に寝顔を晒すグラハムさんに 俺は少し苛立つのを感じた
 「俺だっていつまでも貴方の従順な舎弟のままじゃぁないんですよ」
 そう云ってキスでもしてやろうかと思った けど止めた
 ラッドさんが居るのを忘れているわけではないし それに絶対に後悔するのがわかっているから
 そうして寝室から出てきた俺をラッドさんが覆いかぶさるように抱きしめる
 いきなりで少し驚いたけど 俺は抵抗することなくそれを受け入れる
 「シャフト 泣くなよ」
 「……泣きませんよ こんなことで」
 いつまでたっても俺の想いがグラハムさんに届くことがないって そんなこと解りきっているというのに
 今更それを少し再確認してしまったからって そんな程度で泣いたりしない
 すっぽりとラッドさんの腕に包まれてしまった頭を 少しもがいて外に出す
 俺の真上にあったラッドさんの顔を見ると ラッドさんの方が泣きそうな顔をしているように見えた
 「……誰の為に泣こうとしてるんですか 貴方は」
 「俺が泣いたりするか 馬鹿」
 「そうですね 馬鹿ですみません」
 くすりと苦笑して そのまま唇を重ね合わせる
 ラッドさんは抵抗せず すんなりとそれを受け入れ先を促す
 わざわざ開いてくれた唇から舌先を差し入れ ラッドさんの舌を絡めとる
 暫くそうやって互いの咥内を貪りあって そしてどちらともなく唇を離す
 扉一枚隔てたところに俺とラッドさんの愛して止まない人物がいるというのに よくこんなことが出来るものだと口の端に自嘲を滲ませる
 そうして俺たちは汚れたかったのだろうか
 互いに互いがあの人に手を出せないと解っているから 汚れて 汚して もう絶対にあの人に触れられないようにと
 でも解っている 本当はもう そんなことしなくてもいいほどに汚れきってしまっているのだと
 「シャフト」
 「ラッドさん……」
 ラッドさんの瞳が熱を帯びて潤んでいる 求めている証拠だ 俺を それとも誰でもいい 誰かを
 グラハムさんの代わりを
 そしてそれはきっと俺も同じだ
 だからこんなことをしようと思える 想い人の家で 想い人が寝ているとはいえ同じ屋根の下にいるというのに
 俺はラッドさんの手を取り さっきまで三人で騒いでいたリビングへと誘う
 スリルを求めているわけじゃぁない ただ 最上級のタブーを求めて
 俺とラッドさんは身体を合わせる
 ラッドさんの乱れる吐息も 白から薄紅に色付く肌も 堪えきれずに漏らす嬌声も 徐々に理性をなくしていく表情も
 全て グラハムさんに触れられなくなる為に その為だけに脳裏に刻み付けていく

 けしてそこに愛などないのだと 云い聞かせて
 (つまりそれは愛が芽生えつつあることを確信しているということなのだ)

 そんなふうに ぼくをみるな様より
 藤下様のフリーリクエスト:シャフグラッド です
 アンケートとって一年以上経って漸く一つ目を書き上げました(死)
 リクエスト作品なのでどなたでも御自由にお持ち帰りしてくださってOKです
 まぁいないでしょうが;
 持ち帰ってもいいぞという方は SSの最後にサイトのアドレスとサイト名を明記して下さいね